バルニエは、73歳という第5共和制史上最高齢の首相で、旧ドゴール派で保守の共和党に属する。共和党は、先の国民議会選挙で、第4位の47議席を獲得した。

 バルニエは、シラク大統領時代にジャンピエール・ラファラン内閣で外相(2004年3月31日〜2005年3月31日)、サルコジ大統領のときにはフランソワ・フィヨン内閣で農業・漁業相のポストについた。

 2016年からは、バルニエは、Brexitをめぐる交渉に関してEU側の首席交渉官を務めた。また、2021年1月には、フォン・デア・ライエンEU委員長の特別顧問になり、イギリスとの貿易協力協定の成立に尽力している。

 マクロンは、このような経験や人脈の豊富なバルニエに国民議会をまとめることを期待したのである。

バルニエ内閣

 バルニエは、9月21日に内閣を発足させた。マクロンの政党「ルネッサンス(再生)」とバルニエの属する共和党中心の人事である。

9月23日、バルニエ内閣の初閣議。右からルタイヨ内相、マクロン大統領、ディディエ・ミゴー法相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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 共和党からは、ブリュノ・ルタイヨが内相に任命されたが、彼は、移民や治安に関しては極右に近い強硬派である。

 ルネッサンスからは、アントワーヌ・アルマン下院議員が経済・財務・産業・デジタル主権相になったが、33歳の若さである。アニエス・パニエ=リュナシェ農業・食料主権相付副相がエコロジー・エネルギー・気候・リスク防止大臣に決まった。セバスティアン・ルコルニュ国防相は続投する。

 外相には民主運動のジャンノエル・バロが就任した。

 17人の閣僚中、ルネッサンスが7人、共和党が3人、民主運動が2人、地平線が1人、民主党・無党派連合が1人、無所属が3人である。