ディーラーは「裁判記録が全て」「社内で熟慮と検討した結果」と回答

 坂本さん夫妻は2024年6月12日、Aが勤務していた自動車ディーラーに以下の質問を送りました。

・御社では、死亡事故歴のある中古車を販売する際、事故情報や修理内容の情報を開示されていますか。

・私達遺族は、「廃車」と聞いた際、その意味を「スクラップにした」と思い込んでいましたが、御社では通常、「廃車」という言葉をどのような意味で使われていますか。

・今回、A氏が「事故車を廃車した」と言いながら、A氏又は御社がオークションに流通させていた事実を把握していましたか。

・本件事故車をオークションに流していたことについて、御社としてどう思われますか。

 6月25日、代理人弁護士からは以下のような回答が寄せられました。

<警察と検察での適正な交通事故の捜査を経て、すでに民事責任及び刑事責任を問う裁判は終了しております。ご家族様の求められているご質問の回答につきましても、これら裁判記録が全てであると思料いたしますため、個別のご質問にお答えすることは控えさせていただきます。ご家族様の悲しみ、思いへの寄り添いが足りないとのお叱りを受けることも承知のうえ、社内で熟慮と検討した結果でありますこと、何卒、ご理解を賜りたくお願い申し上げます。>

 本件でAがおこなった、事故車の「一時抹消登録」の手続きは、たしかに違法ではありません。しかし、警察や検察は、Aが取り調べ時に供述した「廃車」という言葉の意味を正しく認識していたでしょうか。そして、裁判官は判決を書く際に、この事故車がすでに売却されていた事実を確認していたでしょうか。