未公開株売買で詐欺、被害者を恐喝

 発端は2001年、羽賀が大阪で不動産業を営むY氏に医療関連会社の未公開株を約3億7000万円で買わせたことだ。Y氏は当初、羽賀に未公開株購入を勧められるも渋っていた。だが、羽賀があまりにしつこく勧めてくるうえ、「元金を保証する」という一筆を入れてきたことで未公開株を購入することにした。

 だがその後、羽賀が未公開株を高値でY氏に売りつけていたことや、その医療関連会社はすでに経営破綻状態で株式も紙クズ状態になっていたことが判明、Y氏は羽賀に返金を強く求めていた。

 2006年、そんなY氏に羽賀側から「利息をつけて返済する。内容を協議したいので出向いてほしい」と連絡が入った。Y氏が、待ち合わせ場所となっていた大阪中央区のホテル(当時)2階の喫茶店を訪れてみると、そこにいたのは羽賀容疑者が依頼した関東圏の弁護士と大阪府内の暴力団幹部、さらにはボクシング元世界チャンピオンの渡辺二郎たちだった。羽賀の姿は無かった。

 そこでY氏はある書類を提示される。そこには「返金予定の3億7000万円は1000万円で和解する」と書かれていた。ようするに3億7000万円の借金を1000万円でチャラにしろ、という内容だ。

 到底承服できないY氏は押印を拒んだ。すると現場にいた暴力団幹部らが喫茶店の死角になる場所にY氏を連れて行き、「ハンコを押さなかったらどうなるのか分かっているやろ」「大阪湾に浮きたいのか」などと脅迫してきた。この喫茶店は奥行きが50メートル以上もある大きな店で、スタッフや他の客から死角になる場所はいくつもあった。脅されたY氏は、結局ハンコを押さざるを得なかった。