決選投票で逆転した安倍氏、今回は?

渡辺喜美氏による候補者9人の「通信簿」(敬称略)渡辺喜美氏による候補者9人の「通信簿」(敬称略)
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 逆転は起きるだろうか。

 安倍晋三氏が石破氏に逆転勝利した2012年総裁選の背景には、「維新の脅威」があったのではないか。同年5月、みんな党代表だった私は大阪維新の会代表の橋下徹氏から「国政政党を作るに当たり安倍さんを代表に迎えたいので口説いて欲しい」と頼まれた。

 私は菅義偉氏、安倍氏と別々に会い橋下氏の要請を伝えた。二人の答えは全く同じ。「9月の総裁選に出て復活を果たしたい」だった。信じがたい話だったが、この時点で二人が構想を練っていたのは歴然としていた。意思は固いと悟り、橋下氏には諦めるよう伝えた。

 同年8月、維新は国政政党化され、ものすごい人気を博した。自民党総裁選はその直後に行われたのである。安倍氏が維新と近い関係にあることは知れ渡っていた。野党議員の心理としてできたばかりの維新には自分の選挙区には対立候補を出して欲しくない、安倍さんなら上手く調整してくれるのではないか、と考えたとしても不思議はない。

 毎年クリスマスイブに安倍・菅両氏が橋下・松井氏を呼んで会食していたのは、こうした逆転劇の背景にある真実を物語る。

 普通なら一回目投票に従うだろう。今回、野田立憲対策として対立軸鮮明が良いか、不透明が良いか。裏金議員がキャスティング・ボートを握る場合、自分の処遇や禊にどの候補が良いか、を考えて投票するだろう。泣いても笑ってもまもなく結果は判明する。