走りは「上質感があり、扱いやすい」のだが…
1周6kmの高速周回路と、欧州の郊外道路を想定したコースで試乗した感想は「上質感があって、とても扱いやすい」というものだ。
車重は2030kgと、このボディサイズのSUVとしてはかなり重いのだが、そうした重さに由来する低重心をうまく活用している。
その上で、車体構造物の一部補強や、サスペンションのセッティングを見直すなどした結果、車線変更時の揺り戻しなど、クルマの重量増がクルマの特性にネガティブにならないよう配慮した。
駆動系としては、定格出力60kWのモーターが前輪を駆動させるのだが、グイグイと加速するというよりは、スッキリとした伸び感があるような加速を見せる。
また、ホンダとしてひとつ前の燃料電池車である「CLARITY FUEL CELL」と比べると、車内の静粛性がさらに上がった。これは、FC(燃料電池)スタック、モーター、ギアボックス、エアコン用コンプレッサーなどを、ベース車であるCR-Vの基本骨格にそのまま搭載することで音や振動の影響を軽減したからだ。
それにしても、なぜホンダはこのタイミングでCR-V e:FCEVを発売したのか?
日本でCR-Vは5代目が2022年後半に発売されていたが、現行の6代目はアメリカなど海外市場を主体とするモデルとして日本では未発売だ。今回試乗したCR-V e:FCEVのみが日本導入のCR-Vとなる。
背景にあるのが、ホンダが2023年2月に公表した「水素事業の取り組みについて」だ。 その中で、「次世代燃料電池システムを外販して、水素事業を拡大する」としている。
外販とは、いわゆるB2B(事業者間取引)を指す。