ハマスとの戦闘がレバノンにも拡大
イスラエルは2023年10月、イスラム組織ハマスによるテロへの報復としてパレスチナ自治区ガザへの攻撃を始めました。イスラエルの北で隣接するレバノンのヒズボラはハマスを支援する立場から、イスラエル北部をロケットで何度も攻撃。そのためイスラエルの住民約6万人が避難を余儀なくされています。
今回の爆破事件がイスラエルの「モサド」によるものだとすれば、次のような考え方が成り立つでしょう。
イスラエルのネタニヤフ首相は最近、ヒズボラの攻撃から避難している国民に対し、「安全に自宅に帰れるようにする」と約束しました。支持率の低下を反転させ、国内政治の基盤強化を図る狙いがあることは明白です。
またネタニヤフ首相はハマスとの戦闘継続を目指していますが、ガラント国防相は停戦合意に向けて動いており、2人の確執も目立つようになってきました。こうした政権内の混乱から国民の目をそらす狙いもあったのかもしれません。
しかし、ガザ地区のハマスとの戦いに加え、レバノンのヒズボラとの戦闘が激化すればイスラエルは苦しい立場に立たされるでしょう。イスラエルの後ろ盾となっている米国も戦闘の拡大は望んでおらず、イスラエルが孤立する可能性も否定できません。
ポケベル爆弾などの事件から数日後、イスラエルはレバノンの首都ベイルートを空爆し、ヒズボラ幹部を殺害しました。国際社会の懸念をよそに、戦闘はすでに拡大を始めています。