共働き、少子化…負担の重さに保護者は悲鳴

 PTAの活動は時代とともに大きく変化してきました。

 核家族化、共働き、ひとり親世代など家族のあり方の変化に伴い、それまでPTA活動を支えていた母親たちの活動が困難になったことが最大の要因です。かつてPTAの会合といえば母親ばかりが顔を揃えたものですが、2000年代に入ると、女性の社会進出によってPTA活動のために時間を使うことのできる人が大きく減ってきました。

 学校行事の手伝いや通学路のパトロールなどの負担は並大抵ではありません。専業主婦の多かった時代はまだしも、男女を問わず働きながらPTA活動を続けるには大変な労力を強いられます。役職から逃れるために、年度初めのPTA会合を欠席する人も多いと言われました。逆に、欠席裁判で役割を背負わされたのはおかしいという声も、どこかで聞いたことがあるでしょう。

 そうした負担に加え、教育環境も変容。習い事の多様化や受験優先の世帯が増加し、PTA活動の比重は各家庭でさらに減っていきます。

 東京都PTA協議会が2023年10月に実施した保護者アンケートの結果は、こうしたPTAの環境変化を象徴する内容でした。

 回答者3700人余りのうち、PTA活動に対する期待として最も回答の多かったのは「子どもの安全を守る」で、賛同者は73.8%という高い割合になりましたが、外部へ業務委託しても良いと思う活動のトップも「通学路のパトロール」(58.1%)だったのです。

 横断時の黄色い旗に象徴される安全パトロールは従来、PTAの保護者らが担うケースが多かったのですが、その負担は重すぎると感じる人が多いのでしょう。外部委託しても良いと思う活動では、「保護者・教員対象のイベント」「安全を守る活動」も上位に並びました。

 この調査では、組織のあり方に関する質問も行われています。「会費など金銭的負担だけをする会員がいてもかまわない」は71%だったのに対し、「会員は必ず何らかのPTA活動に携わるべきである」は9%にとどまりました。PTAによる地域行事への参加についても「不要」はおよそ3割。決して積極的ではありません。

 学校・保護者・地域の三者一体となって子どもたちのために活動するというかつてのPTAの姿は、もう当事者からも望まれていないようです。そうした流れに加え、止まらない少子化の影響もあり、PTA組織は根底から揺らいでいるのです。