背任、横領…多発する不祥事
PTA組織は学校ごとの「単位PTA」を束ねる組織が市町村ごとにあり、その上には都道府県ごとの団体、さらにその上には都道府県や政令市レベルのPTA団体を束ねる「日本PTA全国協議会」が存在しています。その組織の足元が揺らいでいるのです。
2025年3月末の解散を決めた岡山県PTA連合会は、2024年12月をもってこの全国団体を脱退します。この連合会にはそもそも県内のほとんどの郡・市レベルのPTA連合会が加盟していましたが、2009年には岡山市の団体が脱退。その後、倉敷市も脱退し、現在は5つの郡・市の団体しか残っていませんでした。
それだけではありません。日本PTA全国協議会からはすでに東京都PTA協議会、千葉市PTA連絡協議会、さいたま市PTA協議会が脱退しており、2025年春には千葉県PTA連絡協議会も退会を予定しています。そうした結果、NHKの報道によると、日本PTA全国協議会が抱える会員数は2023年度で716万人。5年前の2018年度に比べて1割、91万人も減少したとされています。
各地のPTAで多発した不正や不祥事も保護者らの嫌気を誘ったことは間違いありません。
「PTA会長がPTAの口座から55万円を不正に引き出し」(奈良県)、「中学校のPTA口座などで1800万円が使途不明」(宮崎県)などという犯罪は、毎年のように発生。この他にもPTAの資金で教員が接待されていたなどの出来事も繰り返し報道されています。
名古屋市では、市立の学校側が独断でPTAからエアコンやプロジェクターなどの物品の寄付を受けていたケースも発覚。名古屋市での寄付は2022年度までの5年間で約1億5000万円に達しており、PTAを財布として使っている学校の実態が浮き彫りになりました。
極めつきは2023年に発覚した日本PTA全国協議会をめぐる背任事件かもしれません。この事件では、同協議会の自社ビル修理に関して約1200万円もの代金水増しがあったなどとして、協議会の参与らが背任罪や業務上横領罪などで起訴されています(公判中)。