小泉氏の「聖域なき規制改革」を俎上に載せた議論を

 報道によれば、石破茂氏、小泉進次郎氏、高市早苗氏の3人に人気が集まっているようだが、だったら残りの6人の候補者に勝つ気があるのなら、もっと激しく3人の主張の矛盾点や弱点を徹底的に突くべきだ。

 小泉氏は、“総裁選挙で何をやりたいかはっきり示している。だから総理・総裁になればすぐに解散総選挙だ”と語っている。これが正しいとは思わない。石破氏なども異論を唱えている。これが常識だろう。

 小泉氏は総理になれば、1年以内に「聖域なき規制改革」を断行するという。それが解雇規制の緩和であり、ライドシェアの全面解禁などだ。

 今、非正規労働者は、2124万人いる。そのうちパート労働者は1030万人にもなる。いずれも増え続けている。非正規労働者の生活が安定しないことは言うまでもない。その時に解雇をしやすくするなどということが行なわれれば、非正規労働者や失業者が増えるだけだ。

先頭グループを走る小泉氏だが、主張する「解雇規制の緩和」には批判的な声も出ている(写真:共同通信社)

 島根県の丸山達也知事が11日の定例会見で「会社側が従業員を今より解雇しやすくすることにしか意味がない。正規の人を非正規と同じにする格差是正が実現するだけである」と皮肉いっぱいに語った通りだ。ライドシェア問題もそうだ。

 小泉氏が総裁選の先頭を走っているのであれば、他の候補は小泉氏の「規制改革」論に正面から論争を挑むべきであろう。それができないようなら、そもそも総裁選に立候補すべきではなかったと言われても仕方がないだろう。