解雇には4つの種類がある
ここで解雇の仕組みを見ていきましょう。
解雇には大きく分けて4つの種類があります。企業側の都合による「普通解雇」「整理解雇」、欠勤や遅刻の多発・不良行為など労働者側に起因する「懲戒解雇」「諭旨解雇」です。
現在、焦点となっているのは整理解雇で、経済界はかねてから「企業側に課せられた解雇の規制をもっと緩くしてほしい」と要望してきました。従業員の採用と解雇が自在になれば、必要な人数を必要な時に必要な期間だけ雇用できるため、企業内の余剰人員を最小化することが可能になるからです。
しかし、その要望の前には頑丈な「解雇規制」が立ちはだかっています。解雇規制を明文化した労働契約法第16条は、次のように規定しています。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」
期間の定めがある有期雇用の労働者についても、同17条に同様の規定があり、やむを得ない事情がある場合でなければ、契約期間の途中で労働者を解雇することはできません。また、以下のさまざまなケースでも解雇は法律で禁止されています。
◎国籍、信条または社会的身分を理由とする解雇
◎業務上の傷病のために療養する期間およびその後30日間
◎産前産後の休業期間およびその後30日間(以上、労働基準法)
◎女子労働者の結婚、妊娠、出産または産休を理由とする解雇(男女雇用機会均等法)
◎育児・介護休業の申出または育児・介護休業をしたこと(子の看護休暇を含む)を理由とする解雇(育児・介護休業法)
◎労働組合活動を理由とする解雇=不当労働行為(労働組合法)
労働関係の法律ではなくても、労働協約・就業規則に違反する解雇、信義則・権利の濫用・公序良俗に反する解雇は民法の規定により許されません。とくに労働基準法に違反した解雇の場合、使用者側には懲役6月以下・罰金30万円以下の刑事罰が科せられることもあります。