整理解雇の4要件とは

 労働者に能力がなかったり、労働意欲に欠けていたりしても、企業側はただちに労働者を解雇することはできません。「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」(労働契約法第16条)は、解雇権の濫用に該当し、その解雇は無効になるからです。

 労働者の能力や勤労意欲などに起因する「普通解雇」の場合、解雇権の濫用を理由に解雇無効の判決がくだされたケースは多数あります。1999年に東京地裁で判決の出た「セガ・エンタープライズ事件」もその1つです。

 大学院を卒業してセガに入社した男性は、労働能率が劣り向上の見込みがない、積極性がなく、自己中心的で協調性がないなどとして解雇されましたが、それを不当として地位保全と賃金の支払いを求めて提訴。この訴えについて、東京地裁判決は「平均的な水準に達していなかったからといって、ただちに解雇が有効となるわけではない」との判断を下したのです。

 一方、今回の自民党総裁選で焦点となっている「整理解雇」はどうでしょうか。

 整理解雇とは、企業活動の縮小や業績悪化に伴う人員整理のことですが、これは労働者に理由のない解雇であることから濫用は厳しく制限されています。先述したように整理解雇には満たさなければならない4つの要件があります。過去の裁判でも4要件を欠いたものは無効とされてきました。

 4要件を下の図で詳しく見てみましょう。

表:フロントラインプレス作成
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 これらの4要件を満たしていないと、労働者が各地の労働局・労働委員会に申し立てたり、訴訟したりした場合、その解雇は無効と判断される可能性があります。逆に言えば、企業側からすれば、整理解雇のハードルは相当に高いと言えます。

 小泉進次郎氏はその4要件を法律で緩和することにより、人材の流動性をさらに高めようと提唱しているのです。