復活のカギは「やらされ感」の払拭

 PTA活動を復活させるには、原点に立ち返って組織をつくり直すことが必要になる。

 そもそも任意団体、自発的組織である以上、基本的に参加は自由であり、実質的な強制も含め強制的要素はすべて排除しなければならない。活動内容は会員にとって魅力や必要性が感じられるものが中心になり、「やらされ感」をもたらす活動、例えば学校や行政の下請け的業務などは思い切って返上すべきである。

 また自発的参加を促すためには、時間や労力の負担は最小化する必要がある。とりわけ共働きで子育て中の親にとって、PTA活動に割ける時間的な余裕は極めて限られていることを認識しておかなければならない。

 そこで各PTAは前例踏襲を改め、ゼロベースでやりたい活動、必要不可欠な行事だけを行うようにすればよい。

 もう一つは思い切ったデジタル化である。例えば会議や連絡はメールやチャットなど原則としてオンラインで行い、会計業務などは専門の機関にアウトソーシングする。昨今、PTAを巡る不明瞭な会計処理や不正があちこちで発覚しているが、役員が金銭にタッチしない仕組みをつくれば不正防止の効果も期待できる。

 ちなみに欧米でもPTAは存在するが、ほとんどがボランティア制で、学校と協力する活動はあっても日本のような下請け的業務は存在しない。そのためか役員には自ら立候補する人が多く、役員の担い手がいないといった問題は生じていないようだ。

 日本でも役員を選挙で選ぶ方式を改め、保護者に希望する役職と引き受けられる年度を自己申告してもらい、それをもとに数年間の役員を割り当てるようにしたところ、行事への参加者が急増したというケースがある。

 自発的組織の原点に返って、強制性と「やらされ感」を払拭することがPTA復活のカギだということを物語っている。

 企業などでは曲がりなりにも組織改革や働き方改革が進みつつある今、PTA組織は最も改革が遅れている組織の一つである。マイナーチェンジではなく、一から組織をつくり直す覚悟で改革を行わない限り、組織崩壊への雪崩は止められないだろう。