カナダ産原油の輸出拡大、9月以降日本にも

 カナダの昨年の原油生産量は日量565万バレル、10年前に比べて41%増加していたが、国際市場での存在感は薄いままだった。

 だが、北米西海岸につながるパイプラインの輸送能力が拡張されたことで状況は一変した。カナダには北米地域の製油所の集積地であるメキシコ湾岸に向けたパイプラインが敷設されていたが、輸送能力が実際の生産量を下回る状況が続いていた。

カナダの「トランス・マウンテン」パイプラインの拡張計画には抗議運動も(写真:ロイター/アフロ)

 長年、ボトルネックを抱えていたカナダだったが、政府系企業「トランス・マウンテン」が今年5月に西部アルバータ州から北米西海岸に原油を輸送するパイプラインを拡張したことで輸送能力は従来の日量30万バレルから同89万バレルと約3倍となった。

 これにより、太平洋を経由したアジア地域向けの原油輸出が増えることが予想されており、日本にも9月以降の輸出が見込まれている。

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、カナダの2030年の原油生産量は日量651万バレルと昨年に比べて12%増加する見通しだ。

 カナダ産原油の性質は中東産原油と近く、アジア地域で競合が起きれば、原油価格の下落圧力になるというわけだ。

 一方、需要サイドの懸念は高まるばかりだ。