ただ、法曹界では、李氏の中小ベンチャー企業振興公団理事長就任がソ氏の採用に対する代価性を立証するのは容易ではないとの見方もあり、起訴されたとしても裁判での激しい論駁が予想される。

 一方、金正淑夫人に対しても数件の検察捜査が進行中だ。

大統領夫人の単独外交、タージマハル観光が目的ではとの疑惑

 金夫人は、2018年7月に文前大統領と共にインドを公式訪問してからわずか4カ月後の同年11月に、今度は単独で大統領専用機を使ってインドを訪問した。2022年の国政監査では、この訪問に対して「外遊出張」という疑惑が出た。

 インド側は当初、文化体育観光部長官または次官の訪問を要請したが、金夫人が7月のインド訪問で見られなかったタージマハルを訪問したいがために予備費4億ウォンを緊急編成して大統領専用機に乗って行ってきたという疑惑が提起されたのだ。

 この疑惑が再び注目を集めるきっかけとなったのが、他でもない、今年5月に文在寅氏が出版した自叙伝だった。その中で文氏は夫人のインド単独訪問を「大統領夫人の単独外交」と褒め称えた。この記述によって、皮肉にも疑惑が再度クローズアップされる結果を招いた。6月には国民の力のソウル市議員によって検察に再告発され、現在、調査が進行中だ。

2018年7月、インドを単独訪問した金正淑夫人。タージマハルの前で記念撮影(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
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2018年7月、夫の文在寅大統領“抜き”で、大統領専用機に乗ってインドを単独訪問した金正淑夫人。前回の訪印では行けなかったタージマハルを、大きめのサングラスでキメて訪問した(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
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