公団理事長に推してもらった見返りに大統領の娘婿の就職の世話を?

 一方で、ソ氏を雇った側の李相稷氏は、ソ氏就職の4カ月前にあたる18年3月、韓国の中小ベンチャー企業振興公団の理事長に就任し、さらに2020年5月には共に民主党の公認を受け、共に民主党の地盤である「全州市」から国会議員に当選した。

 韓国検察は、李相稷氏の公職任命が娘婿の就職に対する文大統領からの代価だと睨んでいる。検察は、中小ベンチャー企業振興公団理事長候補として李氏の名前が浮上した時、文在寅大統領府は人事検証実務陣から「不適格」との報告を受けながらも理事長任命をゴリ押ししたとの証言もすでに掴んでいるという。

中小ベンチャー企業振興公団理事長時代の李相稷氏(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
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 第19代大統領選挙当時、文在寅陣営で働いていた李相稷氏が2007年に韓国・ソウルで創業した格安航空会社「イースター航空」は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと反日不買運動の直撃を受け、2019年末から大々的な構造調整に入り、巨額の賃金未払いがあった。

 これに対してイースター航空職員労組は実質的所有者である李氏の責任を強く追及した。李相稷氏は2012年に国会議員に当選してからイースター航空の経営から退いているが、実質的にはその後も経営に深く関与し、横領と背任はもちろん採用に関しても圧力を行使してきたという主張だ。