(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)
ウクライナで、現時点までに6機しか稼働していないF-16戦闘機のうちの1機が墜落し、訓練を受けたパイロットが死亡しました。
原因は、ウクライナ空軍のパトリオットによる友軍相撃(ゆうぐんそうげき、フレンドリーファイア)だった模様です。
Xには、ウクライナの国会議員ベズグラ氏が次のように発言したというポストがあります。
「8月26日の大規模なミサイル攻撃中に、ウクライナ空軍部隊間の連携不足により、F-16はパトリオット防空システムに撃墜された」
“The F-16 was shot down by a Patriot air defense system during the massive missile attacks on August 26 due to a lack of coordination between Ukrainian Air Force units”
— Lord Bebo (@MyLordBebo) August 29, 2024
── Bezugla, People's Deputy of Ukraine pic.twitter.com/9rY2n8q2wU
この友軍相撃に対して、敵味方識別装置があるのになぜ友軍相撃が起きるのかと疑問視する声も聞こえます。しかし、パトリオットで敵味方識別を行っていたこともある筆者としては、今回の友軍相撃は可能性として十分にあり得るものだと思っています。
友軍相撃の詳細や原因を公表すると、ロシアがウクライナの防空態勢を推測する材料になってしまうため、これらが公表されることはないでしょう。そのため以下では、ウクライナの防空事情から原因を考えてみたいと思います。