友軍相撃事故の“犯人”

 今回の友軍相撃は、パトリオットのオペレーターによる識別ミスや、機器操作や飛行禁止空域への侵入といったパイロットのミスの可能性もあります。

 発表がないため詳細は不明ですが、一つだけ気になっていることがあります。それは、この友軍相撃が理由だと噂されるオレシチュク空軍司令官の解任が、あまりにも早すぎたことです。

 この友軍相撃によるF-16の墜落は8月26日でした。そして、空軍司令官の解任は30日です。わずか4日しか経過していません。

 9月に入ってからも、墜落は友軍相撃ではなく別の理由だったとする報道もあるくらいで、原因究明には相当の時間を要することが普通です。もちろん、解任が全く別の理由だった可能性もありますが、それならそれを発表するでしょう。

 これは、筆者の推測ですが、オレシチュク空軍司令官は、空域分離を行わなくとも友軍機の保護は可能だとして空域分離を行っていなかったのかもしれません。

 ここまで見てきたように、ウクライナの空は空域分離が必要な状況だったと思われます。空域分離を行っていなかったのなら、危惧する声もあったでしょう。結果的に、友軍相撃が起こったことで解任されたのではないか、と筆者は考えています。