友軍相撃が発生した状況

 詳細は公表されていませんが、分かっている限りの状況を整理しておきます。

 ウクライナ空軍のXへのポストによると、8月26日にロシアが行った大規模なミサイル、ドローンによる攻撃の最中、F-16のパイロット、オレクシイ・メス氏は、これらの迎撃任務についていました。彼は、3発の巡航ミサイルと1機のドローンを撃墜した後、友軍相撃により撃墜されたようです。

撃墜されたF-16のパイロット、オレクシイ・メス氏(ウクライナ空軍のXへのポストより)

 場所は不明ですが、F-16は前線に出さないとアナウンスされているため、パトリオットが配備されているキーウなどの都市近傍である可能性が高いと思われます。

使い物にならない敵味方識別装置(IFF)

 一般に言う敵味方識別装置は、英語では「IFF」(identification friend or foe)と呼ばれていますが、装置、方式には複数のものがあります。

 パトリオットに搭載されている可能性のあるIFFにはモード1からモード5までの5種類がありますが、モード1、2は古い形式のもので通常使用されていません。

 モード3は、民間機に搭載されているトランスポンダ(モードA)と同じもので、「SIF」(Selective Identification Feature)とも呼ばれます。御巣鷹山に墜落した日本航空123便など、緊急事態に陥った航空機が使用する「スコーク7700」と呼ばれているものも、このSIFの応答信号です。

 厳密には、軍用として使用されるモード4およびモード5だけがIFFです。そのため、軍事の世界で敵味方識別装置全般を表す際には「SIF/IFF」と書きます。モード5は最新のIFF機器で、まだ搭載されていないものもあり、メインはモード4だと言って良いでしょう。

 このSIF/IFFに共通なのは、方式が「2次レーダー」と呼ばれる装置だということです。これは、2次元(平面)という意味ではありません。

 一般的なレーダーは、電波を放射し、目標が反射した電波を受信することで目標を捉えます。これを「1次レーダー」と呼びます。