長引く高金利に悲鳴

 このデスクはこうも話した。

「産業のすそ野が広がらないから経済格差はさらに広がってしまった。金利が高止まり、運転資金や生活資金、不動産ローンの返済に追われている庶民は多い。長引く高金利で悲鳴が聞こえる」

「半導体の輸出が史上最大になったといっても、一般国民には関係のない話だ」

 IMF(国際通貨基金)は2024年の韓国のGDP成長率を2.5%と予想する。景気が悪いとはいえ、世界の主要国の中では高い水準だ。

 輸出が一定の成果を上げて成長率を押し上げてはいるが、格差が拡大してしまったので、これくらいの成長率では一般国民の景況感は良くならないのだ。

 では、どうすればよいのか?

 政治リーダーの悩みも深まるばかりだ。9月1日の与野党党首会談で、与党代表の韓東勲(ハン・ドンフン=1973年生)代表は冒頭発言でこう話した。

「過去の伝統的な基準から見れば両党のスローガンが入れ替わったのではないかと思う方もいるはずだ。私が“格差解消”を、李在明代表が“成長”を語っている」

 韓国では保守政党は「成長」を、進歩政党は「分配」を重視して競い合ってきた。

 それが最近、両党首は、逆の話を繰り返している。

 もちろん、支持基盤拡大という政治的狙いからの発言だが、韓国経済の構造的な変化も背景にある。

 保守の政党が成長を主張してもそのアイデアがない。進歩政党はずっと分配を主張してきたが、格差は解消できていない。

 これまでと同じ主張では説得力がなくなってきたのだ。

 かつてのような高成長は期待できず、少子高齢化は深刻だ。半導体に頼るだけでは、成長とそれに伴う分配拡大も望めない。

 輸出が増えてもなかなか景気が良くならない。構造問題でもある。