景気低迷、賃金未払い、廃業まで
9月1日の日曜日。与野党の代表会談が国会であった。
野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン=1963年生)代表は冒頭発言で「経済の低迷」と「苦しい庶民生活」を強調した。
「秋夕(チュソク)の連休が近づいている中で国民の生活はとても苦しい。高物価、高金利、実質所得減少、景気の構造的な停滞。そして史上最大を更新している賃金未払い。自営業者の廃業まで続き、深刻だ」
政府を批判する野党党首の発言とはいえ、大統領の発言とはあまりに大きな差がある。
「ブロックバスター級輸出」のはずなのに、同じ国でこんなことが起きるのか。
廃業や賃金未払いというと穏やかな話ではないが、実際にこういうことが起きているらしい。
8月30日に就任したばかりの雇用労働部の新任長官は翌日に緊急幹部会議を招集し、最初の指示を出した。
「賃金未払いに対して総力を挙げて対応せよ」
経営が苦しくなった中小企業や個人商店が少なくないのだ。これでは内需が良くなるはずもない。
半導体だけでは牽引できない
なぜ、半導体を中心とした輸出の好調が韓国経済を牽引できないのか?
先の大学教授は「半導体以外の分野で力強い成長が見えない。半導体依存がさらに高まっている」と話す。
以前はスマートフォンなど携帯端末機やディスプレーなどが半導体と並んだ成長分野だった。
さらに一時は、電気自動車(EV)用バッテリーが急成長した。
しかし、スマホやディスプレーに以前ほどの勢いはない。世界的なEV需要の一巡でバッテリー需要も伸びていない。
「半導体一本足」の状況が強まっているのだ。
半導体産業はもともと装置産業で雇用創出効果もさほど大きくない。多くの部材や装置は輸入に依存している。
韓国紙デスクはこう話す。
「半導体に続く成長産業を育成する必要がある。こういう指摘が出てからもう10年以上、ひょっとすれば20年近くになるが、容易ではない」