判決が国を動かした

 この判決から5年後の1968年、「原子爆弾被爆者に対する特別措置法」が制定され、被爆者への特別手当の給付や健康管理手帳の支給が始まる。原告敗訴となったものの、嘉子さんたちの判決が国を動かした。

 ドラマでの原爆裁判はどうなるのか。寅子の元上司の雲野六郎(塚地武雅)が急逝したため、弁護人の中心は元先輩の岩居(趙珉和)だが、山田よね、轟太一も弁護団に加わっている。予告編でよねは寅子に対し「意義ある裁判にするぞ」と決意表明している。よねの肩に力が入るのは珍しい。弱者救済のために弁護士になったから、なんとしても勝ちたいだろう。

朝ドラ「虎に翼」公式Xより
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 寅子とは学生時代からの付き合いである社会派記者・竹中次郎(高橋努)も原爆裁判を取材する。「そろそろあの戦争を振り返ろうや」。竹中からも並みならぬ決意が感じられる。日本を焦土にしてしまった戦争の責任がどこにあるのかを探りたいのではないか。最終回より少し早いが、原爆裁判はクライマックスになるだろう。

 視聴率はずっと好調。全130回の平均視聴率は『ちむどんどん』(2022年度上期)以降の5作品の中で最高になるのは確実である。

 面白い朝ドラなら、固定ファン以外も観るのである。