(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年8月28日付)

バイデン大統領は上手な衰退の仕方をよく知った人物として評価されていい(写真は5月1日、写真:ロイター/アフロ)

「衰退を管理する」という表現がこれほど不愉快な響きを持つことは残念だ。英国では特にそうだが、英国以外の国でも同じだ。

 ここは一つ、大人らしく振る舞おうではないか。

 考えてみよう。この世界にはスペインやエジプト、日本など、権勢の絶頂期を過ぎてしまった国が少なくない。

 その国に住まう何百万、何千万の人々にしてみれば、その後の下り坂に巧みに対処できるか否かは非常に大きな問題だ。

 米フォード・モーター・カンパニーは20世紀半ばの栄華を再現することはできないが、同社で働く従業員17万7000人としては、衰退がいかにうまく管理されるかが大事だ。

 それに20代の若き日々がとっくの昔に終わった人たちは、自分の衰えを管理していないとしたら一体何をやっているんだという話になる。

 米国は1945年当時、世界唯一の核保有国だった。1960年になっても世界全体の国内総生産(GDP)の40%を生み出していた。

 どちらも再現されることはもう二度とない。

 従って今では、すべての米国大統領が衰退の管理という任務を負う。ジョー・バイデンはこの尊敬に値する仕事を最近の前任者たちよりも上手にやってのけた。