ローマ帝国衰亡史から学べる教訓

 英国の歴史家エドワード・ギボンがローマ帝国の衰亡を6巻もの紙幅を費やして書き綴ったのは、饒舌だったからではなかった。

 異性関係がうまくいかず、エネルギーが有り余っていたわけでもなかった。

 その理由は、現実世界でのローマの衰退と没落には本当に長い時間がかかったからだ。

 ギボンのこの著作は、偶然にも米国が独立する時期に出版された。

 困難な状況に置かれたポトマック河畔の帝国に役立つ教訓が、遠い昔にテヴェレ河畔に栄えた帝国から得られるのではないかとの考えから、今でも時折ひも解かれる。

 そんな教訓が一つある。

 何かが頂点を極めてから最後の崩壊に至るまでの間に、本当にたくさんのことが成し遂げられる可能性があるということだ。

 ひょっとしたら、その意味が分かるためには78歳で大統領になる人物が必要だったのかもしれない。

(文中敬称略)

By Janan Ganesh
 
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