もはや米国の問題は傲慢さにあらず

 傲慢さはとうの昔に米国の問題ではなくなった。

 今ではむしろその逆が、つまり斜陽の国として行動することが米国を本当に落ち目の国にしてしまうリスクこそが今そこにある明らかな問題だ。

 バイデンはこれをどのように回避したのか。

 バイデンは、帝国の衰退の最重要ポイントを理解しているようだ。それは衰退には長い時間がかかるということだ。

 挑戦者となる国が現れて帝国の基盤である経済的優位性を侵食し始めても、帝国は世間の注目を浴びる時間を数十年、場合によっては数世紀も延ばすことができる。

 英国が工業国としての優位性を失い始めたのは1800年代のことだったが、大英帝国は1920年代まで領土を拡張し続けた。

 1945年には戦争で疲弊し巨額の債務を抱えていたものの、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国の1つになった。

 またロシア自体が、一流の大国としての天寿を全うした後、たとえ略奪者の役であったとしても、国が世界的な役割をまだ維持できることを教えてくれている。