フェイク・コンテンツかどうかを誰がどう見極める?

 そうなると頼みの綱は、投票権を持つ一般の有権者たちだ。有権者がしっかりしていれば、いくら巧妙に作られたフェイク・コンテンツであっても、「何かおかしい」と気付くことができるだろう。

 またフェイク・コンテンツに触れた瞬間は騙されたとしても、後にそれによって攻撃された候補者自身が「あれは嘘だ」と否定するなどすれば、嘘に気付くことができる。

 そして、いくら外国政府が豊富な予算を持っていたとしても、有権者が接するありとあらゆるメディア上でフェイク・コンテンツを拡散させるのは困難だ。

 その意味で、有権者が幅広い情報源から情報を集めることを心掛けていれば、フェイク・コンテンツによるプロバガンダ行為が成功するのをある程度まで回避できると考えられる。

 実際にさまざまな識者が、フェイク・コンテンツへの対抗策として、「一般人の意識やリテラシー」に期待するような発言を行っている。

 ただ、この有権者の意識改革という点についても、どこまで期待できるのか不安視させるような研究結果が発表されている。

 その研究とは、人々の「情報の真偽識別能力」がどこまで正しく機能するかを実験によって検証したものだ。研究を行ったのは米MITの研究者らで、彼らはその成果を「選挙直前の政治ニュースに対する信念(Beliefs About Political News in the Run-up to an Election)」というタイトルの論文として発表している。

 この論文で解説されている実験と、その結果を紹介しよう。