交通公社が事実を説明しても…

 ネット空間で「独島オブジェ撤去」がバズワードになると、メディアも取材に動いた。メディアの取材に応じたソウル市交通公社関係者は「混雑した駅舎で乗客の動線に邪魔になるという苦情があった」とし、撤去の理由を明らかにした。

 実際、市庁駅や金浦空港駅など、比較的乗客の動線と被らない空間に設置されたオブジェは撤去されていない状態だったが、インターネットユーザーの大半はこの説明に納得しなかった。

ソウルの「市庁駅」に設置された竹島のオブジェ。こちらは現在もそのまま設置されているという。2010年1月撮影(写真:YONHAP NEWS/アフロ )
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 しかもネットメディアやMBCなどの親民主党系メディアは、「ソウル市交通公社が混雑度に対する調査もせずに一方的に撤去した」「撤去された独島オブジェは直ちに廃棄された」など火に油を注ぐような報道を続けたため、「尹錫悦政権が日本に気を使って独島オブジェを片付けてしまった」という一部の主張はますます力を得ることとなってしまった。

 燃え盛る世論に慌てたソウル市交通公社は、「新しい独島オブジェを設置する」と明らかにしたのだが、すっかり煽られてしまった韓国人の怒りは収まらなかった。

 そこに、龍山戦争記念館や国立図書館など政府が運営する施設に設置された独島オブジェも撤去されたという報道が出て、騒動はさらに大きくなった。