かなり幅がある各候補の政策スタンス

<主流派候補の政策スタンス>
 主流派のうち、河野デジタル相は、財政については「小さな政府」を志向し、金融政策については正常化に前向きとみられる。

 2017年には、自民党の行政改革推進本部の本部長としてまとめた提言で、金融政策の出口戦略および財政健全化の重要性を強調した。2021年の総裁選では、アベノミクス継承を掲げた岸田氏や高市氏とやや距離を置くスタンスを示した。今年7月には、円安是正のため利上げの必要性を示唆する発言もあった。

 林官房長官は、直近そして過去の発言をみても、どちらかといえば財政健全化を重視しているとみられる。金融政策については、直近では官房長官の立場として日銀に委ねる方針を示している。

 茂木幹事長の財政スタンスは、どちらかといえば分配重視とみられる。2023年1月、自民党内で少子化対策の議論が進む中、先んじて児童手当の所得制限撤廃を主張した。一方、金融政策については、今年7月に正常化を進める方針を明確にすべきとの考え方を示した。

 上川外相は、直近のスタンスは不明だが、過去の発言をみると行政改革や財政健全化を主張、「小さな政府」を志向しているとみられる。金融政策のスタンスについては不明だ。

<非主流派候補の政策スタンス>
 非主流派のうち、小泉元環境相は、父の小泉元首相と同じく、規制緩和や財政健全化など「小さな政府」を志向しているとみられる。金融政策のスタンスについては不明だ。

 石破元幹事長は、地方創生を持論としており、どちらかといえば分配重視とみられる。ただ、直近では、社会保障・財政改革の必要性を強調している。総裁選出馬の際にどのような財政スタンスを打ち出すかが注目される。金融政策については、正常化の必要性を強調している。

 加藤元官房長官は財務省出身ということもあり、財政健全化を重視しているとみられる。金融政策については、直近の発言をみる限り、日銀による正常化の推進に対して理解を示している。

 野田元総務相は、子ども対策を成長戦略に位置づけ、歳出拡大を求めている。金融政策については、コロナ禍後に緩和継続に対して理解を示していたものの、コロナ禍前には異次元緩和の弊害を主張していた。

 齋藤経済産業相は、バラマキ的な予算に批判的で、歳出改革による財政健全化と規制緩和の重要性を強調している。金融政策について、直近でははっきりとしたスタンスを示していないものの、金利上昇による中小企業への影響を気に掛けているようだ。コロナ禍前には金融緩和の重要性を強調していた。