決選投票でキャスティングボートを握る存在

<決選投票での連合は?>
 1回目の投票で、主流派、非主流派、保守派のいずれが(そして各派のうち誰が)勝ち残るか、現時点で不透明だ。いずれにせよ、決選投票において、各派はそれぞれ結束する可能性が高い。そして、主流派、非主流派、保守派でどのような連合が成立するかが、決選投票を制する決定的な要因となろう。

 決選投票において、麻生副総裁を中心とする主流派と、菅前首相を中心とする非主流派が連合を組む可能性は低い。すなわち、主流派と非主流派による決選投票となる場合、保守派がキャスティングボートを握ることになりそうだ。

 保守派が勝ち残る場合、決選投票に進めなかった主流派もしくは非主流派と組むことで、決選投票を制する可能性も考えられる。

 なお、例えば非主流派の2人が決選投票に進む場合、議員票が大多数を占める決選投票の仕組みに基づけば、国会議員の支持をより多く集める側が制することになる可能性が相当に高い。

<主要候補の経済政策スタンスを2つの軸で整理>
 誰が新総裁(=新首相)になるかで、そしてどの党が連立政権に加わるかで、政策の方向性は変わってくる。自民党の総裁候補、そして主要政党が公表する経済政策を確認する必要がある。

 以下では、やや気が早いものの、過去の発言等を踏まえ、主要総裁候補の経済政策スタンスを財政、金融政策の2つを軸として大まかに整理する。

 財政については、財政規律や官民の役割に対する考え方、いわゆる「大きな政府」を目指すか「小さな政府」を目指すかの方向感が各候補、各党で異なる。金融政策運営については、正常化、すなわち利上げに前向きであるか、それとも緩和継続、すなわち利上げに慎重であるかで整理できよう。

主要政党及び自民党総裁候補の経済政策スタンスの大まかなイメージ