総裁選の投開票とその仕組み

<投開票>
 総裁選は国会議員の投票による得票数と、全国の党員・党友の投票に基づく算定票数の合計により争われる。国会議員票は現時点で367票である。衆参両院議長や党員資格停止中の議員を除いた現時点での議員数で、衆議院は253人、参議院は114人だ。

 党員算定票は、国会議員票と同数(367票)になるよう換算され、ドント式により各候補に配分される。合計734票の過半数を得た者が当選者となる。

 過半数を得た者がいない場合には、上位者2人による決選投票が行われる。多数の立候補者が予想されるため、誰も過半数を獲得できず、決選投票に至る可能性が高い。1回目の投票では国会議員票が分散すると見込まれるため、国民人気が高い者が決選投票へ進出しやすいだろう。

 決選投票は、国会議員票(367票)および各都道府県1票(47票)の合計414票により争われる。各都道府県の1票は、決選投票候補者のうち、都道府県ごとの党員投票で得票数の多い者が獲得する。合計して、過半数を得た者が新総裁に選出される。

<総裁選後>
 新総裁は9月27日に選出された後、10月第1週にも召集される臨時国会で首相に指名される見通しだ。臨時国会で所信表明演説や各党代表質問等を実施した上で、新首相が衆院の早期解散に踏み切る場合、総選挙は11月3日もしくは10日の投開票になりそうだ。

 早期解散の有無は新首相の判断次第だ。政治資金問題に対する自民党への批判が根強い中では、衆院解散を先延ばしにすべきとの意見がある。一方で、過去をみると、新政権発足の直後に内閣支持率が上昇しやすい。「ご祝儀相場」と呼ばれる状態だ。

 メディアが新首相を好意的に取りあげるため、そして不祥事や政権運営の不手際などマイナス材料が少ない段階のためだ。各議員が最も当選しやすいタイミングになるとの期待、圧力も高まるだろう。9月の総裁選の期間中に、各メディアが調査する内閣支持率や自民党支持率の帰趨が、早期解散の判断材料として重要になりそうだ。

 やや気が早い話になるが、衆院解散・総選挙となる場合、自民・公明の連立与党で過半数を確保できるか否かが最大の焦点となろう。仮に確保できない場合でも、自民党を中心とする政権となる可能性が高いが、連立政権の枠組み変化、例えば連立相手の追加などが生じることになる。

内閣支持率の推移
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自民党支持率の推移
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