(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員)
二週間ほど前、岸田文雄政権は内閣官房参与に元財務官として名高い神田眞人さん(通称・神田暴威)を充てる人事を発表しました。これを見て、俺たちの岸田文雄さんは総裁選再選に向けて長期政権の構想を練っているんだなとみんな思っていたわけです。
岸田文雄はやる気だ、と。
折しも、6月16日の沖縄県議選で自由民主党と公明党が擁立したすべての候補者を当選させていましたし、7月7日の都知事選挙・都議補選では立憲民主党から無所属に転出して勝負をかけてきた蓮舫さんの“自滅”もありました。
◎ネットで黒煙を上げ続ける俺たちの蓮舫さん、誰かどうにかしてあげられませんかね(JBpress)
割と重要な政策を次々と実現した漢・岸田文雄
年初から元旦の能登半島地震の対応とパーティー券還流問題にまつわる党内人事に追われ、党内処分後の4月28日には3補選で惨敗しながらも、原発再稼働や外交・安全保障では着実に点数を重ねて、自民党支持率も岸田政権支持率も、やや持ち直してきたところでした。
岸田さん自身、総裁再選には強い意欲をもって臨んでいると見られていたんですよね。また、条件が整えば再選も可能とも思われていました。
そこに来ての8月14日、お盆明けには態度を示すとしていた岸田文雄さんの総裁選不出馬会見は、驚きをもって迎えられました。私事ながら、ご同業に呼ばれて未明まで飲んで寝てたら突然早朝の電話で叩き起こされて、そりゃもう眠気も酔いも吹っ飛んでおめめパッチリになってしまいますわねえ……。
ともあれ、総裁選不出馬をご決断された総理のお考えは何よりも重大なことですし、最大限に尊重したいと思います。
3年余りの自由民主党総裁と、総理大臣の重責をお務めになられた岸田文雄さんには最大限の謝意と敬意を抱かざるを得ません。本当にお疲れさまでした。
なにぶん今日の朝の出来事ですので、私たちも「えっ、マジなの」という驚きと共に、ああ、そうなのか……という雰囲気になるのは、漢・岸田文雄のある種の「美学」によるところが大きいと思います。