グローバルサウス向けのハブとしての可能性

 イタリアは、英国やフランスと違って、一部を除きアフリカ諸国の多くを植民地にしたわけではない。植民地支配を受けたアフリカ諸国の人は、表面上はともかく心底では植民国に反発をしていることも多い。このような経緯の少ないイタリアは、この点でもアフリカとの親和性につながりうる。

 この柔軟で寛大な国民性は、アフリカ諸国に限らず、他のグローバルサウス諸国と関係でも、発揮される可能性がある。

 かつてイタリアに居住していた知人は、「イタリア人は、その国民性からアフリカをはじめとしたグローバルサウスともつながりやすいのではないか」と語っている。

 ビジネスパーソンとして、イタリアを、アフリカをはじめとしたグローバルサウスとの関係のハブとしての視点から見ると見え方が違ってくることは間違いない。

山中俊之(やまなか・としゆき)
著述家/芸術文化観光専門職大学教授

 1968年兵庫県西宮市生まれ。東京大学法学部卒業後、1990年外務省入省。エジプト、イギリス、サウジアラビアへ赴任。対中東外交、地球環境問題などを担当する。首相通訳(アラビア語)や国連総会を経験。外務省を退職し、2000年、日本総合研究所入社。2009年、稲盛和夫氏よりイナモリフェローに選出され、アメリカ・CSIS(戦略国際問題研究所)にて、グローバルリーダーシップの研鑽を積む。
 2010年、企業・行政の経営幹部育成を目的としたグローバルダイナミクスを設立。累計で世界96カ国を訪問し、先端企業から貧民街・農村、博物館・美術館を徹底視察。ケンブリッジ大学大学院修士(開発学)。高野山大学大学院修士(仏教思想・比較宗教学)。ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA、大阪大学大学院国際公共政策博士。京都芸術大学学士。コウノトリで有名な兵庫県但馬の地を拠点に、自然との共生、多文化共生の視点からの新たな地球文明のあり方を思索している。五感を満たす風光明媚な街・香美町(兵庫県)観光大使。神戸情報大学院大学教授兼任。
 著書に『世界94カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門』(ダイヤモンド社)。近著は『世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ』(朝日新聞出版)。