バイデン大統領の撤退で米大統領選の風景は一変した(写真:ゲッティ/共同通信社)バイデン大統領の撤退で米大統領選の風景は一変した(写真:ゲッティ/共同通信社)

(山中 俊之:著述家/国際公共政策博士)

「潮目が変わった」と多くの人が感じたに違いない。

 バイデン大統領の大統領選挙撤退と、その後のハリス副大統領への支持の高まりである。正式な民主党大統領候補決定はまだだが、多数の有力政治家や代議員が支持を表明していることから、大統領候補としての決定は確実である。

 民主党関係者以外にも、俳優のジョージ・クルーニーや歌手のジョン・レジェンドなど、著名アーティストが続々と支持を表明している。

 短期間に300億円を超える献金を集めた。そのうち6割余りは初めて政治献金をした人であるという。改めて米国人の政治参画意識の高さを痛感する。

 人口や経済規模に違いがあるとはいえ、日本で自民党の国会議員が総裁選挙に出馬すると表明しても、新たに多額の献金があるとは思われない。これまで献金をしてこなかった一般国民からの新たな献金は、ほぼゼロではないか。

 このように米大統領選挙は「バイデンvsトランプ」という見慣れた高齢男性対決から、「トランプvsハリス」という「高齢男性vs若手女性」対決に変貌した。

 59歳のハリス氏を若手と呼ぶのは戸惑いを感じる人も多いであろう。しかし、これまで約80歳の高齢者対決であっただけに、現在59歳のハリス氏(大統領選挙のある11月には60歳になっているが)の若さは目立つ。

 本コラムでは、大統領候補としてのハリス氏を分析して、米国社会の断面をあぶりだして米国社会のゆくえをみていきたい。