高齢のバイデン候補の下で、離反していった民主党支持者が戻ってきたことが支持率の回復につながった。そして、女性、非白人という、トランプと対照的な特色も、多様性を重視する有権者のハリス支持を拡大させた。

 問題は、今の熱狂的な支持が11月5日の投票日まで続くかどうかということである。

ハリスの政策

 カマラ・ハリスには問題点もある。バイデン政権の副大統領であるが、特筆すべき実績はない。その点では、1期4年間大統領職を経験したトランプに劣る。

 また、バイデン政権の失策の責任を副大統領として負わされることになる。たとえば、ガザでの戦闘がまだ続いているが、イスラエルに軍事支援を続けながら停戦交渉をまとめられないこと、その間に多くの無辜のパレスチナ人が犠牲になっていることなどがそうである。

民主党の大統領候補のハリス氏と副大統領候補でミネソタ州知事のティム・ウォルズ氏(写真:AP/アフロ)

 シカゴの党大会会場の外ではパレスチナ人を支援する民主党員がデモをして抗議の声をあげていた。激戦州のミシガン州にはアラブ系の住民が多く、ハリスが今のバイデンの中東政策をそのまま引き継げば、彼らの支持を失う可能性がある。

 もう一つの例は物価高である。有権者の最大の関心事はインフレであり、それに伴う生活苦である。食品や4年間で1.5倍となった住宅価格の高騰は、バイデン政権の無策のせいだとトランプ陣営は批判の声を高めているが、副大統領のハリスもその責任の一端を担う。