ロシアの住宅ローン金利は20%

 ロシアがハリコフ方面に進軍し、緩衝地帯を作ろうとしていることについて男性は「効果は感じていない。なぜなら攻撃は収まるどころか、激しくなっているから」と言う。

 11月の米大統領選挙について「トランプ氏が勝てば即時停戦と言われているが、どう思うか」との問いには、「すぐ終わるとは思わない。米国の選挙には全く何の興味もない。彼らは自分たちの政治をやっている。私たちが関心があるのは、ここでの地域生活だけだ」と吐き捨てるように話した。

 この男性宅から徒歩1分のところに、昨日の砲撃のせいで屋根が丸焼けになった一軒家があった。

 これを見ると「命の方が大事なのだから、たとえ遠方でも、避難所に入った方がよい」と思うのだが、よく考えてみたら、酷な話だ。

 地震の避難と違い、数か月我慢すれば仮設住宅に入れるわけでもない。職場に通えず、わずかな現金収入すら絶たれる。

 しかもロシアの政策金利は18%。住宅ローンの金利となると20%を超えてしまう。それゆえ今はマイホームを購入を見送る人が多く、賃貸相場はうなぎ登りだ。

 年単位でプライベートのない、先の見えない生活を送り、唯一の財産である家さえも失う可能性が大きいと思えば、行動を躊躇するのは理解できる。

 こうして会話している間も、ボンボンと砲撃の音が聞こえている。大きい音と、かなり大きい音の組み合わせだ。

 大きい音はウクライナ側からの砲撃。かなり大きい音は、ロシア側のミサイル防衛システムだ。

 最初は驚くが、しばらく聞いていると慣れてしまって、音の響き方で、どちら側のミサイルかすぐに分かるようになる。

シェベキノ市内の文化宮殿(2023年5月撮影)