文中敬称略

ジリノフスキーの墓(筆者撮影、以下同じ)

ウクライナ戦争を予言したロシアのトランプ

 ロシア大統領選挙が今週末に行われる。

 しかし、全く盛り上がっていない。プーチン勝利は疑いようがなく、ロシア人に聞いても、あとの3候補の名前さえ出てこない人が多い。

 そこで懐かしく思い出すのが、ロシアの極右として過激な発言で知られた政治家、ウラジーミル・ジリノフスキーだ。

 その奔放な言動から「ロシアのトランプ」とも言われていた。

 ロシア自民党党首だった彼は、コロナに感染し、2022年4月に75歳で死去した。常に暴言で物議をかもし、ある意味でテレビの人気者だった。

「予言者」としても有名だった。

 ウクライナ戦争が始まる前から「ウクライナの一部の地域がロシアのものになるだろう」と発言していたし、生前にイスラエル・パレスチナの紛争についても言及していた。

 最近、ジリノフスキーの映画が作られることになり、ドラマで話題の若手俳優が主役を務めることになった。

 また、ジリノフスキーの思考回路を模したAIが作られ、人々が今後の世界の行方を聞いたりするなど、その死後もロシア社会に存在感を放っている。

「一体いつ(シベリアの)レナ川に橋が建設されるのでしょうか? もう30年間も選挙のたびに約束されています」

「ヨーロッパより面積が大きいヤクーチア(サハ共和国)にとっては、死活問題なのです」

 こういう問いに対しジリノフスキーのAIは、かなりアグレッシブな口調で、5年以内にプロジェクトは実現されるだろうと述べている。

ジリノフスキーのAI(公式テレグラムより)