2023年もあと2カ月足らず。年末恒例のヒット番付を賑わせそうなのが「おにぎり」だ。街中では専門店の出店が増え、コンビニ各社も新商品を続々投入。自宅で専門店のようなおにぎりが握れるキッチントイまで登場している。長期化する米離れに歯止めをかける存在としても期待が集まる。そこで、令和のおにぎりブームの現状と、おにぎりの歴史を振り返り、おにぎり新時代への道筋を探った。
(森田 聡子:フリーライター・編集者)
「進化系おにぎり」がSNSなどで話題に
最近都心の繁華街やローカルな商店街に増えてきているのが「おにぎり」の専門店だ。国内商業施設の新規開業・出店情報を掲載するウェブサイト「出店ウォッチ」でおにぎりを検索すると、実に40件以上がヒットした。
定番食材のほか、トリュフや和牛といった高級食材を合わせた、見た目も華やかなおにぎりが人気の「TARO TOKYO ONIGIRI」(東京・虎ノ門)や、特注の機械でプレスする羽根つきの焼きおにぎりの専門店&LABAR「gao」(東京・入谷)など、「進化系おにぎり」がSNSなどで話題だ。
片や、おにぎり専門店の草分け的存在として知られる1960年創業の「ぼんご」(東京・大塚)には、常連客とは毛色が違うZ世代の若者たちが開店前から列をなしている。
おにぎりを主力商品とするコンビニエンスストアも負けていない。
セブン-イレブン・ジャパンは3月から、京都の老舗米問屋・八代目儀兵衛監修による、低温精米した米を、米の甘さを引き出すようブレンドしたおにぎりを販売している。
ローソンは4月に高価格帯の「金しゃりおにぎり」シリーズをリニューアル。業界初となる立体成形方式で、人の手で握ったようなふっくらした食感を実現した。
今夏おにぎり製造機に約20億円を投資することを発表したファミリーマートは、10月に具材の味付けやおいしさにこだわった「ごちむすび」をリニューアルして売り出した。