9月1日のヤクルト戦で勝利しタッチを交わす阪神ナイン(写真:共同通信社)

今年はトラが元気だ。プロ野球セントラルリーグの阪神タイガースは9月1日、東京ヤクルトスワローズを4対2で下し、消えていた優勝マジックを再点灯させた。2005年以来18年ぶりのリーグ制覇まであと「18」だ。親会社の阪急阪神ホールディングスの株価もひと足早く33年ぶりの高水準になっている。タイガースがこのまま優勝まで突っ走るのかどうかは、虎党だけでなく一般の個人投資家も気になるところだ。タイガースの過去3度の優勝と株価動向には“ある法則”があるからだ。その法則とは? そして、今年はどうなる?

(森田 聡子:フリーライター・編集者)

阪急阪神HDの株価は33年ぶりの高値水準

 阪急阪神ホールディングスの株価は1月の3710円を底に上昇。9月1日には5276円をつけ、年初来高値を更新した。

 関西を地盤に鉄道、不動産、ホテル業などを幅広く運営する同社は、2006年に当時の阪急ホールディングスと阪神電鉄の経営統合によって誕生した。その際の株式の併合などを考慮した実質株価は、実に1990年以来33年ぶりの高水準という。

 コロナ禍からの経済再開やインバウンド需要の回復を背景に、足下で同社の業績は順調に推移している。8月に発表した2024年3月期第1四半期連結決算では、経常利益が前年同期比43.0%増、純利益は同49.2%増だった。

 さらにここに来て株価の押し上げ要因となっているのが、傘下のプロ野球球団・阪神タイガースの快進撃だ。セリーグの首位を走るタイガースは、1日時点で貯金を26とし、2位の広島東洋カープに6.5ゲーム差をつけている。

 今季のタイガースの強さの理由として、しっかりした勝ちパターンを確立していることが指摘されている。

 村上頌樹投手や大竹耕太郎投手の台頭で先発投手の層が厚くなり、リリーフ陣も安定。攻撃面でも近本光司選手、中野拓夢選手の1・2番コンビが出塁してクリーンアップが返すというスタイルが定着した。

 選手たちの精神的支柱となっていた糸井嘉男選手が引退したが、今季はドラフト1位ルーキーの森下翔太選手が活躍するなどチームとしてもバランスが取れている。