コロナ禍で利用者を大きく増やしたふるさと納税は、2022年度には寄付受け入れ額が約9654億円に達し、今年度は初の1兆円超えが確実視されている。今年10月に経費ルール厳格化に伴う返礼品の実質値上げが行われたことから、9月に駆け込み寄付が急増。10月以降は落ち着きを取り戻したが、23年分の寄付の最終月となる12月は、再び寄付需要が膨らむと見られている。利用者、自治体共々「決戦の月」となる12月に向けての動きを追った。
(森田 聡子:フリーライター・編集者)
12月のふるさと納税、有利に働く面も
2008年からスタートしたふるさと納税は、好きな自治体に寄付をすると寄付額から2000円を引いた額がその年の所得税や翌年の住民税から減額され、さらに寄付額の3割相当額までの返礼品が受け取れる制度だ。ただし、控除を受けられる寄付額には上限があり(控除上限額)、それは寄付する人の年収や家族構成などによって変わる。
例年は、控除上限額の算出ベースとなる年収が確定する12月に寄付が集中するが、23年は少しばかり様子が違った。
10月にふるさと納税の経費ルールが変更され、書類の発送料や仲介サイトへの手数料なども含めた経費を寄付額の5割以内に収めることとなり、結果として返礼品の寄付額を見直す自治体が相次いだためだ。
大手ポータルサイトのさとふるは、10月の経費ルール変更に向けた駆け込み寄付の増加で、9月の寄付額が前年同月の4.5倍以上に上ったという。ちなみに、同じさとふるの調査によると、10月に返礼品の内容などの見直しを行った自治体は全体の約3割で、値上げ幅は平均2割だった。
例年と違う動きがあったふるさと納税だが、12月はやはり盛り上がる月になりそうだ。さとふるでは「9月末までに寄付をした人も源泉徴収票が届いてから控除上限額を確認し、調整のために再度少額の寄付を行うと予想される。12月には第2次駆け込みふるさと納税が発生するのではないか」と見ている。
ふるさと納税の専門家は、利用者にとって12月の寄付が有利に働く側面もあると指摘する。