教会に通う人は以前の半分に

 30分ほど走ると、もうシェべキノに着いた。

 町の入り口に大きな教会がある。日曜日で、しかも教会上の祝日だったので、たくさんの人が訪れていた。

 高齢者や若者だけでなく、子供たちが積極的に手伝いをしていたので驚いた。

 この日は礼拝に加え、葬式もあれば、赤ちゃんの洗礼式もあるといった具合で、大忙しだった。しかし長司祭によると、以前と比べて教会に通う人は半分に減ったという。

教会内部

 礼拝の後、信者たちのお茶会に呼んでもらい、家庭菜園で作ったみずみずしいトマトや、果物をご馳走になった。

 在宅でマーケティングの仕事をしている20代の女性は「いつも攻撃を警戒していないといけないから、どこへも行けない。ほとんど毎日家にいます。だから、こうやって集まって話せる時間がとても貴重なんです」と話した。

 車の窓越しにシェベキノの町を眺める。

 綺麗にペイントされたカラフルな低層住宅が立ち並び、川には太陽の光が降り注ぎ、木々の緑がまぶしい。

 何の目的で来たのか一瞬忘れてしまいそうになる。ふと、車内に不快な臭いを感じた。

 聞けば、昨日、牛乳運搬のタンクにドローンが命中し、道路に牛乳があふれ出したのだという。この日は真夏日で、牛乳が蒸発する臭いが車内まで漂ってきたのだ。

 市内の住宅街に到着し、昨日の砲撃でバラバラになった建物を見た。まるで大地震の後のようだ。

 それなのに、なんだか食欲をそそる香りがする。なんと奇跡的に残った小さな店舗があり、そこでチキンの丸焼きを売っているのだ。

 筆者が近寄ると、ちょうど男性客がチキンを買っているところだった。

 店員の女性に、こんなところで商売を続けて怖くないのか聞いたが「何者も、ロシア人を脅かすことはできないわ」と豪快だ。

被害を受けた建物