「予備選挙」と「党員集会」の違いは?

 限られた時間のなか、広く一般に顔を売ろうとする大統領候補者は多忙です。テレビCM、SNS、主要都市での遊説、テレビ討論会、有力な団体でチャリティーをして寄付を募るなど、あらゆることをやります。

「田舎の党員集会に行くのはスケジュール的に無理」という場合も多いのですが、党員集会には一般の人やメディアも来ています。つまり取り上げられて話題になるチャンスもありますし、直接会うことで「ぜひこの候補者を当選させよう!」という熱心な支持者を得ることも可能なのです。

 ちなみに人口が少ない州など、予備選挙ではなく「党員集会」で党の代表候補を決める場合も少数ですがあります。地域のコミュニティに候補者とその政党の党員が集まり、直接対話をして「こんな政策なのでぜひよろしく」とやりとりするというものです。

 こうして二大政党それぞれの候補者たちは、予備選挙や党員集会を通して各州の議員のうち自分の支持者、「代議員」を獲得します。各党の党大会で代議員が投票して、我が党の大統領候補を決定します。

 民主党の代議員には国会議員や党の大物などで構成される「スーパーエリート」もいたりして、すべての代議員が予備選挙と党員集会で決まるわけではありませんが、もちろん多いほうが有利。ここまでは同じ党内で候補者が激しく戦うわけですが、戦いがオープンにされているのが、米国の政党の特徴と言っていいでしょう。

 この後に行われるのが全国大会。「予備選挙でその党の代表はもう決まっているのに、何をするの?」と言えば、候補者を全国の国民に広くお披露目するためです。注目度は非常に高く、たとえば2008年6月の全国大会では、民主党代表選でオバマに敗れたヒラリー・クリントンが敗戦スピーチをしたことはご承知の通りです。