もしトラ、ほぼトラの声はもはや聞こえなくなった(Pixabayからの写真)

「とりとめのない老人の独演」と酷評

 米共和党大統領候補のドナルド・トランプ前大統領と米実業家イーロン・マスク氏が8月12日にSNSのX(旧ツイッター)上で行った対談が炎上した。

 トランプ氏に良かれと思って、マスク氏が所有するXで行ったインタビューは、90分にわたるトランプ氏の独演会だった。

 保守系のコメンテーターからも「とりとめもなく喋るトランプ氏の一人芝居(Rambling Snoozefest)」と酷評された。

 6月下旬のジョー・バイデン大統領とのテレビ討論では、バイデン氏が老醜を曝け出したため、トランプ氏は「敵失」で株を上げた。

 しかし、今回は自身が老醜を曝け出した格好で、辛辣な評論家の中には「トランプ氏の消え去る瞬間」「大統領選のゲームは終わりか」とトランプ氏の「撤退」すら口にする者も出てきた。

 カマラ・ハリス副大統領から激しい追い上げを受け、激戦州での集会動員数でもハリス氏に圧倒されたトランプ氏。マスク氏は少しでも勇気づけようとしたが、すべて裏目に出た格好だ。

mediaite.com/bored-megyn-kelly-chalks-trumps-rambling-performance-in-elon-musk-interview-up-to-his-advanced-age/

thehill.com/trump-campaign-spiral/

 おまけに配信後、トランプ氏が使っていたモバイルバッテリーは、同氏が目の敵にしてきた中国の製品だったことが判明した。

 中国側から「安克(Anker)」マグネット式ワイヤレス充電機能付きモバイルバッテリーだったことが指摘されるなど踏んだり蹴ったりだった。

 インタビューとは名ばかりで、マスク氏はほとんど質問できず。トランプ氏は90分の約9割はこれまで言ってきた話題を繰り返すばかり。

 ニュースとしては、トランプ氏が労働者のスト権を完全無視し、労働者を脅迫するような発言*1をしたことぐらい。全米自動車労組(UAW)は直ちに憲法違反だと告発する意向を示した。

*1=マスク氏は、ツイッター買収の際に全従業員の半数を解雇、またテスラの販売不振を受けて従業員の10%解雇を断行している。トランプ氏はインタビューで「君は素晴らしい人員整理人(Cutter)だ」と称賛した。