パリ五輪で女子体操平均台を演技するシモーン・バイルス選手(8月5日、写真:新華社/アフロ)

2000万人の移民が黒人の仕事を奪う、実は嘘

 パリで開かれているオリンピックで、米国勢は圧倒的な強みを見せ、8月5日現在、メダル75個(うち金メダル19個)を獲得した。

 その原動力は「ブラック・パワー」だ。

 中でも体操のスター、シモーン・バイルスは空中感覚を失い、イップスのような症状のため途中で離脱した東京五輪以来2大会ぶりにメダル9個(うち金メダル6個)を奪取して頂点に返り咲いた。

 今大会で黒人選手がどのくらいメダルを取るかはまだ分からないが、東京五輪では米国勢が取った44個の金メダルのうち、黒人選手の金メダル数は11個と、全体の19.4%を占めた。

quora.com/Why-are-most-of-Americas-Olympic-gold-medals-won-by-black-people

 まさに黒人なしでは米国は五輪チャンピオンになれないのだ。

この日ばかりは「ブラック・パワー万歳」

 バイルスは、最終種目のゆかを終えると、星条旗をまとってスタンドの大声援に応える。

「まだ実感が湧いていない。ただ喜びでいっぱい」

「この3年間、世界の舞台に戻るため闘ってきたことに誇りを感じる」

 波瀾万丈の競技人生は、多くの人の心に響き、今大会はテニス女子で活躍したセリーナ・ウィリアムズ、バスケットボール男子のレブロン・ジェームズ(レーカーズ)ら黒人スターたちが競技を見守った。

 バイルスは、その直後、X(旧ツイッター)にこうした投稿をした。

「私は『私の、黒人の仕事』(I love my Black job)が大好き」

 これだけ聞いただけではピンとこないかもしれないが、これはドナルド・トランプ共和党大統領候補(前大統領)に対する強烈なパンチなのである。

cnbc.com/simone-biles-trump-olympics-black-job.