黒人女性団体の集会で演説するカマラ・ハリス副大統領(7月24日インディアナ州で、写真:ZUMA Press/アフロ)

有権登録者ではトランプを抜いて44%

 米大統領選挙からの撤退を表明していたジョー・バイデン大統領は7月24日午後8時(日本時間の25日午前9時)にホワイトハウスの大統領執務室から米国民に向けて12分間の演説を行った。

「国を結束させるため、次世代にバトンを渡すのが最善の道と判断した」

「優秀な私のパートナーである、カマラ・ハリス副大統領に、歴史とパワーを委ねた」

「民主主義の擁護はどんな肩書きよりも重要だ」

「撤退する」とSNSに投稿したことで全米国民、メディア、同盟国指導者たちから喝采を浴びたバイデン氏。

 だが一度「撤退」を口にすれば、大統領としての残りの任期が6か月あろうと、力も権威もなくなった「レイムダック大統領」だ。

「降りる」寸前まで「降りろ」コールを叫んできた主流メディアも、この夜ばかりはバイデン氏の勇断を称えた。

 だが、「去る者日々に疎し」。

 今やメディアも有権者の目耳は、バイデン氏に後継者に指名されたハリス氏の一挙手一投足に集まっている。

 バイデン氏のハリス支持発言で、党内がハリス氏の候補一本化に成功したことで民主党指導層も支持者も一応ほっとしている。後継者選びで党内が大荒れに荒れるのだけは避けられたからだ。

 ハリス氏が正式指名に必要な代議員数1976人を大幅に超えた(7月23日時点で2700人になっている)。

 軍資金もバイデン撤退表明から24時間で、大統領候補としては史上最高額100万ドルがハリス氏の元に集まった。

 世論調査もトランプ氏を初めて抜いた。

 ロイター通信と調査会社イプソスは、バイデン氏が大統領選挙戦からの撤退を表明した後の7月22日から23日にかけて全米を対象に行った世論調査結果を公表した。

「ハリス氏とドナルド・トランプ共和党大統領候補のどちらに投票するか」という質問に対して「ハリス氏」と答えたのは39%、「トランプ氏」も39%と拮抗。

 有権者登録をしている人に限定した場合では「ハリス氏」と答えたのは44%、「トランプ氏」が42%と、ハリス氏は2ポイントリードした。

(公共ラジオ「NPR」と公共放送「PBS」が、7月22日に全米を対象に行った世論調査では、「トランプ氏に投票する」と答えたのは46%、「ハリス氏」と答えたのは45%で、トランプ氏が1ポイント上回っている)

 6月27日のバイデン氏との討論会、7月13日の暗殺未遂事件を受けて、「神に救われたトランプ」は、激戦州7州すべてでバイデン氏に数ポイントリードする勢いだった。

 ところが、バイデン氏の撤退、ハリス氏の登場で俄かに情勢が変わってきた。