米共和党大会3日目の7月17日、副大統領候補の受諾演説を行ったJ・D・バンス氏と夫人のウシャ・バンス氏(写真:AP/アフロ)

拳を上げた血だらけトランプのインパクト

 米中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで7月15日から開催されていた共和党全国大会は、18日、大統領選に向けた党綱領を採択、ドナルド・トランプ、J・D・バンス正副大統領候補を正式指名して閉幕した。

 この党大会が歴史に残した「記憶」はトランプ氏の受諾演説でもなければ、39歳の副大統領候補が指名されたことでもなかった。

 銃弾がトランプ氏の右耳をかすめた直後、数人の護衛に抱きかかえられながら右拳を上げて「ファイト、ファイト、ファイト」と叫んだ血だらけのトランプ氏の1枚の写真だった。

 AP通信のピューリッツァー賞受賞カメラマンのショットは全世界を駆け巡った。

 大統領候補者を殺しかねない「政治的暴力」が罷り通る米国の異常さをこれほどビジュアルに見せつけた証拠写真はほかにない。

 幸いトランプ氏の命に別状はなかった。

「刑事被告人」は米民主主義を守り抜く力強いリーダーに変身した感すらあった。

 党大会会場に姿を見せたトランプ氏を政治風刺ジャーナリストのA・アンダーソン氏はこう描写した。

「(ヘビー級王者・マイク・タイソンに)耳を噛まれたエバンダー・ホーリーフィルドのように耳に白いガーゼで覆ったトランプ氏は、タイソンのように肩をいからせながら威風堂々登場した」

 トランプ氏は7月18日、指名受諾演説で、暗殺未遂事件前のあの戦闘的な演説とは打って変わったように穏やかでゆったりした表情(Kinder, Gentler)で党の団結、米国民の団結を謳い上げた。

 同氏は「米社会の不和と分断は癒やされなければならない」と強調し、国家の団結を目指す考えを示した。

 米メディアは、「ファイト(戦闘)からユニティ(団結)?」と驚きをもって報じた。

(事件後、トランプ氏は保守系メディアとのインタビューで「神のみが思いもよらぬ結果を示してくださる。これは国が一つになるチャンスだ」と語っている)

thedailybeast.com/michael-ian-black-the-big-problem-with-selling-a-kinder-gentler-donald-trump?