NATO首脳会議後に記者会見するバイデン大統領(ワシントンで7月11日、写真:AP/アフロ)

NATO首脳会議に「トランプの影」

 米ワシントンで開かれている北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議、NATOアジア太平洋パートナー(日豪韓ニュージーランド)首脳会議で、ジョー・バイデン米大統領(81)は固い結束を演出した。

 中国とロシアに対抗するため、同盟国をまとめ上げる指導力を誇示し、これまでの「バイデン外交」の集大成とする首脳会議のはずだった。

 しかし、米国内での第2期政権模索に対する反対の高まりで目的達成は半減してしまった。

 NATOに対する猜疑心を露わにするドナルド・トランプ前大統領の影が首脳会談をすっぽりと覆い、参加した各国首脳は戸惑いを見せた。

 各国首脳は、「もしトラ」が実現した時、バイデン氏との約束事はどうなるか、という疑念を最後まで隠し切れなかった。

 高齢からくる精神的、身体的な衰えを指摘される中で、バイデン氏にとって外交の場は、全米国民による「健康診断」の場と化した。

 NATO首脳会議を総括する7月11日の記者会見は、バイデン氏にとっては6月27日のトランプ氏との討論会、ABCテレビとの単独インタビューに次ぐ、試練のパフォーマンスだった。

 一部政治サイトは、進退問題で重大発言をするのではないかと予測したが、それはなかった。

 従来通り、「再選に向けた選挙キャンペーンの続行」を宣言した。撤退を示唆する発言は一切なかった。米メディアは「先延ばし」に失望した。

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