米国メディアはエマニュエル駐日大使がハリス政権誕生時にはキーパーソンになると伝えている(写真は5月16日横須賀基地で、写真:UPI/アフロ)

トランプ、9月10日のテレビ討論受け入れ

 米民主党大統領候補指名を確実にしたカマラ・ハリス副大統領(59)の勢いが止まらない。

 リベラル中道派、働き盛りの中西部ヒルビリー、ミネソタ州のティム・ワルツ知事(60)を副大統領候補に指名したハリス氏は、(米メディア報道で見る限り)米史上初の女性大統領になるかもしれない雰囲気を醸し出している

 ジョー・バイデン大統領に対しては世論調査で終始リードしていたドナルド・トランプ共和党大統領候補(78)は、ハリス氏には逆転され、8月8日現在、ハリス45.4%対トランプ43.3%(世論調査などを得意とする情報サイト「FiveThirtyEight」)、と苦戦している。

projects.fivethirtyeight.com/president-general/2024

 これまで保守系FOXチャンネル主催でなければ応じないと言っていたトランプ氏だったが、8月8日の記者会見でハリス氏が提案していたABCテレビ主催の討論会(9月10日)を受けると公言した。

apnews.com/trump-harris-vp-pick-election-updates

「トランプ氏は、このままずるずるいくと、『もしハリ』から『ほぼハリ』の可能性がより強まるとの危機感を抱いたのだろう。一発勝負で形勢逆転を狙うつもりだろう」(主要メディア政治記者)

地獄耳・アクシオスの閣僚・高官候補とは

 ハリス氏の勢いを示すのが、米メディアによる「ハリス政権閣僚・補佐官人事」の下馬評が出回り始めたこと。

 もっともこれは、「当たるも八卦当たらぬも八卦」。

 ハリス側近がメディアにうるさく聞かれて、閣僚候補やホワイトハウス高官候補を漏らしているのだ。

 中には「観測気球」を上げている自薦組もいる。

 2020年の時もバイデン政権の閣僚人事が事前に出たが、国務、国防長官など主要人事はほとんど外れている。

それでもメディアが閣僚人事を予測したがるのは、古今東西同じだ)

 ハリス氏を囲む側近グループは、同氏が地方検事、州司法長官時代から交友関係のある黒人女性陣だ。その筆頭がラフォンザ・バトラー上院議員。

 上院ではLGBTQ(性的マイノリティ)第1号議員だ。

 そして現在、民主党全国委員会(DNC)の要職を占めるミニョン・ムーア運営委員長、リー・ドートリー規制委員長、ドナ・ブラジル、ティナ・フロノイ各委員がいる。

 ハリス氏の選挙対策本部には、同氏が副大統領就任早々起こった部内混乱を収拾した立役者、ローレン・ボレス首席補佐官やエリン・ウィルソン次席補佐官が配属され、DNCから配属されたジェ・オリバー・ディリオン委員長やデイビッド・プロウフ元オバマ大統領候補選対幹部らと選挙キャンペーンを展開している。

 おそらく閣僚・ホワイトハウス高官の下馬評は、これらハリス側近から出ていると見ていいだろう。

 下馬評を他のメディアに先んじて報じたのは、ワシントン政界の「地獄耳」を自他ともに認める新興ネットメディア「アクシオス」(Axios)だ。

axios.com/kamala-harris-cabinet-election