斎藤元彦・兵庫県知事の不正疑惑に関する内部告発が波紋を広げています。内部告発を行った幹部職員は懲戒処分されたうえ、後に死亡。内部告発の内容をめぐる疑惑は深まるばかりなのです。内部告発者を保護するための「公益通報者保護法」が成立してから2024年でちょうど20年。公益通報(内部告発)をめぐる状況はどうなっているのでしょうか。そもそもどんな制度なのでしょうか。やさしく解説します。
兵庫県知事「パワハラ疑惑」、告発者保護は適切だったか?
「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題する文書が県議会の一部議員や報道機関に届いたのは、2024年3月のことでした。A4判で4枚。作成者の名前が記されていない匿名の文書でしたが、斎藤知事の激しいパワハラや金品を業者から受け取っているなどとする内容が記されていました。
そのなかには、2023年11月に神戸市で実施された阪神タイガースとオリックス・バファローズのリーグ優勝記念のパレードに関する金銭疑惑も記されていたとされています。
その後、兵庫県の調査によって、文書は定年間近だった県西播磨県民局長(60)が作成していたことが判明しました。
すると、斎藤知事は「事実無根」「公務員失格だ」などと激しい言葉で職員を批難し、局長職を解任。3月末の定年退職を認めず、5月末に停職3カ月という厳しい懲戒処分にしました。その男性が死亡したのは7月初旬のこと。自殺だったとみられています。
斎藤知事のパワハラや金品授受といった疑惑については、県議会に百条委員会も設置され、事実関係の解明が始まっています。ただ、一連の出来事は斎藤知事の疑惑だけでなく、公益通報の取り扱いをめぐっても大きな問題を投げ掛けるものでした。