斎藤元彦兵庫県知事(5月17日撮影、写真:SportsPressJP/アフロ)

 東京都庁舎への「プロジェクション・マッピング」、あれは即座にやめさせた方がよい。

 なぜなら、まさに都庁舎そのものを「ネオンサイン」広告塔にする悪行だからです。

 オリンピック不正で指定から外された大手広告代理店に、都から利益供与する方策として案出され「成功」してしまった残念な例があの「プロジェクション・マッピング」であることは、選挙期間中に周知された開示情報から、すべてバレてしまいました。

 まさにスポンサーとして代理店に飴をなめさせ、手懐け手綱を引くための道具として、庁舎そのものを「広告塔」化するという悪知恵。

 よくもまあ、次から次へとこういう税金の濫用を考え付くものです。

 法律に触れなければ何でもありという、グレーゾーンの紳士を彷彿させる知恵の回り方と言えるかもしれません。

 さて、今回の論点は、こうした個々の所業ではなく、「本当の仕事」を為すことなく失われた30年の間に大切な20代、30代が過ぎてしまった人に共通して見られる傾向があるように思っています。

 そしてそれと似たものを、東京都知事選でも、また都知事選の投票日に亡くなった兵庫県「西播磨県民局長」の男性が告発した「斎藤元彦・兵庫県知事」の所作にも、見るような気がしてならないのです。

いま兵庫で起きていること

 今現在、兵庫県庁で発生している事態は、東京都庁と類似した点があるように報道されています。

 それは首長のハラスメントに起因して、役所内には覇気が失せ、厭世的な空気が蔓延しているという指摘です。

 今年3月12日、兵庫県西播磨県民局長のW氏(享年60歳)は、定年を直前に控えながら在職のまま「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題された文書を、正々堂々と実名で県議、報道機関、県警などに配布したそうです。

 この文書には「斎藤による職員へのパワハラ」「企業への贈答品おねだり」から、今回の小池百合子都知事とよく似た「2021年知事選に際しての、県幹部による事前選挙運動」さらに「セ・パ優勝パレードにおけるキックバック強要」など、7項目の疑惑が詳述され、優勝パレードを担当した総務課長はこれが原因でうつ病を発症したとも記されていた。

 すると約2週間後の3月25日、忠臣蔵で知られる「赤穂」所在の西明石県民局に神戸から「副知事」と「県人事課長」が突然現れ、W局長のパソコンを「押収」して持ち去りました。

 続く27日、県として「退職予定者の中に懲戒処分の可能性が高い不適切行為がある」と公表。

 W氏の退職(と、退職金の支払いなど)を取りやめさせてしまいます(結局このW氏が7月7日に命を落とされます)。

 このとき、兵庫県知事は自ら(小池氏も濫用した)定例記者会見の席で、公益的な通報を「嘘八百」と一方的に断定。

「業務時間中なのに嘘八百含めて文書を作って流す行為は、公務員としては失格。被害届や告訴などを含めて法的手段を進めている」としますが、さらにW氏処分の調査については「第三者委員会」は設置しないと明言します。

 この時点で、公人が絶対にやってはいけない、極めて不適切な行動になっている。

 なぜなら、知事が被疑者の公益通報事案に対して、知事指令下の県が「調査」すれば、「当事者による調査」ですから自分を有利にする可能性が高く、公正性が保証されません。

 今日の日本でこのような不法行為を首長が率先して行うなど言語道断で、この時点で憲政を危うくする暴挙と指摘する必要があります。

 ところが、年度が改まった4月20日、何と上に記された「セ・パ優勝パレードにおけるキックバック強要」でうつ病を病んでしまった総務課長が自殺してしまう事態に発展。

 しかし、驚くべきことに、人ひとりの命が失われても、斎藤知事は「第三者委員会の設置」を拒否。

 5月7日には告発者のW氏の「調査手法は申し上げられない」としながら「停職3か月」の懲戒処分に断罪してしまいます。