極右政党が孤独に苛まれる若者受け皿か

 孤立状態が長く続くと自己への評価が下がるばかりか、人間嫌いになり、他人への信頼が失われる傾向があるという。独テレビ局ARTEが行った最近の世論調査によれば、16~30歳の若者の46%が「自分は完全に孤独だ」または「どちらかと言えば孤独だ」と回答している*3

*3ヨーロッパで広がる孤独 人とのつながりと極右政党躍進の関係(6月26日付、クーリエ・ジャポン)

「欧州の極右政党はTikTokやユーチューブを使いこなして若者の不満を吸い上げている」と指摘されることが多くなったが、若者にとっての最大の魅力はネット上の居場所の確保にあるのではないかと思えてならない。

 若者たちは極右政党へ部族的な帰属意識を強く抱いているとされ、選挙で敗北すればするほど集団へのアイデンティティーはさらに高まるとも言われている。 欧州より右傾化が進んでいるとされる米国でも若者が抱く孤独感は深刻だ。米精神医学会が今年実施した調査によれば、18~34%の約30%が「孤独を感じることが週に数回ある」と回答している。このため、超党派で孤独問題に取り組む動きが始まっているが、前途遼遠と言わざるを得ない*4

*4[FT]深刻さ増す米国民の孤独 超党派で探り始めた処方箋(5月31日付、日本経済新聞)

 有権者、特に若者が抱える苦しみに手を差し伸べない限り、欧州政治はますます右傾化してしまうのではないだろうか。

藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。