もう一つ驚いたのが、高校生の時から韓国語を授業で学んでいる学生が一定数いたことだ。何人かの学生は、こちらが教える必要がないほど、ある程度の韓国語能力をすでに身に付けていた。

 日本において韓国語を学ぶ学生は実際に増えているようだ。韓国語を教える大学も増加している。2020年度は466校で教えられ、2008年度より37校増えている。

 学ぶ人の男女比としては、2023年4月に実施された韓国語能力試験(韓国政府の実施)の国内受検者(約1万3000人)のうち9割を女性が占めていたという。20代が最多で、全体の53%だった(『日本経済新聞』2023年10月21日)。つまり、韓国語を学ぶ若い女性が増加しているのだ。

 高校生のデータを見てみる。英語以外の外国語科目を設置する高校などは607校(2021年度)ある。最も多いのは中国語(457校、1万7847人)で、韓国・朝鮮語(335校、1万2304人)が続く。韓国・朝鮮語の開設学校数は1991年の131校から、2018年には342校まで増えた。2022年度には「高校生のための韓国語検定試験」が立ち上げられ、全国54校の1560人が受験したという(『朝日新聞』2023年6月14日)。

日韓関係にとってはポジティブなこと

 言語というものは文化と深く結びついている。例えば、日本語も韓国語も「敬語」がある言語であるが、それは「目上の人を敬う」という儒教文化が定着しているからである。言語と文化の深い結びつきは「言語文化」と呼ばれ、研究の対象となっている。言語を学ぶことはすなわち、その国の文化を学ぶことなのである。

 とはいえ、言語を学ぶ人が増えるということは、それだけ葛藤や摩擦が増える可能性もある。「近くて遠い国」とかつては呼ばれた日韓の関係がより近くなったとき、相手の嫌なところも見えてしまうだろうし、良いことばかりではないだろう。ここ10年ほどの日韓関係の摩擦を見れば明らかだ。